公募班

Public Recruitment team

公募班のご紹介Public Recruitment team member

A01 公募班A01 Publicly Invited Research

  • 人羅(今村) 菜津子Natsuko HITORA-IMAMURA

    北海道大学 大学院薬学研究院
    Graduate School of Pharmaceutical Sciences, Hokkaido University

    研究課題
    正と負の意志の動的平衡を担う神経活動の解明

    研究課題
    正と負の意志の動的平衡を担う神経活動の解明

    研究内容
    ある行動を起こすべきか否かは、快情動が原動力となり行動を起こそうとする「正の意志」と、不快情動によって行動を抑制する「負の意志」のバランスによって決定すると考えられる。本研究は、快・不快情動を担う神経回路の活動が状況に応じてどのように切り替えられて行動を変化させるのかを解明することにより、ウィルダイナミクスの神経回路基盤を解明することを目的とする。
    1、 マルチサイトファイバーフォトメトリー法を用いて、快情動と不快情動が共存する葛藤状態において、正と負の意志のバランスを調節して行動を制御する神経回路活動を明らかにする。
    2、 光遺伝学的手法を用いて、1で明らかにした神経回路活動を人工的に活性化・不活性化することにより、神経回路活動と行動の因果関係を明らかにする。

  • ミハエル ラザルスMichael LAZARUS

    筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構International Institute for Integrative Sleep Medicine, University of Tsukuba

    研究課題
    レム睡眠と食欲の意志動力学

    研究課題
    レム睡眠と食欲の意志動力学

    研究内容
    In humans, REM sleep loss adversely affects dietary behavior which may lead to weight gain. For example, REM sleep loss in humans enhances the desire to consume food and increases food consumption (Gonnissen H.K.J., et al. Br J Nutr 2013, p. 748). Recent work from our lab suggests a role of neurons in the medial prefrontal cortex (mPFC) in linking REM sleep loss to the desire for food containing high levels of calories from sugar and fat, i.e., junk food (McEown K., et al. eLife, 2016;5:e20269). It remains, however, an open question whether highly palatable foods consumption is causally linked to REM sleep. We aim to elucidate by using chemogenetic methods and in-vivo imaging whether the activity of mPFC neurons that mediate preference for sucrose-rich diet is controlled by REM sleep-regulating pontine cholinergic neurons or wake-promoting midbrain dopamine neurons. This research may reveal a role of REM sleep in promoting 「Willpower」 to reject unhealthy dietary behavior. Obesity and closely associated diseases, including diabetes and cardiovascular disease, are on the rise. The understanding of the underlying brain mechanisms of how sleep loss affects metabolism and energy balance may lead to new strategies to prevent lifestyle diseases.

  • チンファ リュウQinghua LIU

    筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構International Institute for Integrative Sleep Medicine, University of Tsukuba

    研究課題
    新規恐怖反応異常マウスで切り拓く恐怖感情と意志力のダイナミクス

    研究課題
    新規恐怖反応異常マウスで切り拓く恐怖感情と意志力のダイナミクス

    研究内容
    高い意志力(やる気)は、積極的、創造的かつ生産的な生活を送るために必須である。「恐怖」はこの意志力に拮抗する因子の代表で、危険を回避するのに欠かせない精神機能であるが、意志力を打ち負かすほどの強い恐怖感情は作業の失敗や思考停止などを引き起こす。制御不能にまで陥った恐怖感情は、恐怖症、強迫性障害、PTSDなどの不安障害と密接な関係があるとされている。しかし、これらの障害や、恐怖感情そのものを制御する分子メカニズムが不明であるため、意志力と恐怖感情の関係が脳内で神経科学的にどう表現されているのかは未知のままである。我々は、新規に構築した先天的恐怖反応を指標とするフォワード・ジェネティックスから、過剰な恐怖反応を示すマウス家系を樹立した。本研究では、この世界初の遺伝的恐怖反応異常モデルマウスを対象とし、行動学的、分子生物学的および神経科学的アプローチを組み合わせることで、意志力と恐怖感情の拮抗関係の概念実証と意志力の制御メカニズム解明を目指す。

  • 溝口 博之Hiroyuki MIZOGUCHI

    名古屋大学 環境医学研究所 次世代創薬研究センタ―Research Center for Next-Generation Drug Development, Research Institute of Environmental Medicine, Nagoya University

    研究課題
    オレキシン神経特異的機能操作による動機づけ神経回路の解明と意志力検証技術の開発

    研究課題
    オレキシン神経特異的機能操作による動機づけ神経回路の解明と意志力検証技術の開発

    研究内容
    我々は嫌なことや体調が優れない状況においても、「意志力」により自分をコントロールすることで、日々の誘惑や難局を乗り切ることができます。しかし、慢性的に身体に負荷がかかり意志力が欠如すると、うつ病などの精神疾患の発症に繋がります。そのため、意志力を強化することは、ストレス社会を生き抜き、より良い生活を育むうえで優れた方法であり、自らを守り抜く術であるといえます。一方、本研究で取り上げるオレキシンは睡眠・覚醒、エネルギー恒常性、摂食を含む動機づけに関与することが知られています。また、オレキシンは、やる気の根幹をなすドーパミン神経を中心とした報酬回路システムを調節することから、意志力との関係性が連想できます。
    本研究では、ラットの行動解析、神経活動イメージング、計算論から、報酬や課題に対する動機づけにおけるオレキシンの役割を解明し、安定した意志力検証技術の開発を目指します。

  • 阿部 修士Nobuhito ABE

    京都大学 こころの未来研究センターKokoro Research Center, Kyoto University

    研究課題
    欺瞞行動の制御と促進を担う意志力発現の神経基盤

    研究課題
    欺瞞行動の制御と促進を担う意志力発現の神経基盤

    研究内容
    ヒトの意志の力は様々な場面で必要とされるものであるが、不正行為を制御するという側面において、その重要性は極めて高い。例えば「ズル」をすることで何らかの利益を得ることができる場合、主に前頭前野の機能に依存する意志の力によって行動を制御することが必要となる。この場合、前頭前野による制御の対象となるのは、欲求や情動の処理に関与する辺縁系の活動と考えられる。前頭前野による行動制御の機構、また辺縁系によるモチベーション創発の機構は、ともに意志力の発現のドライブとなると考えられるが、上記のような道徳的な意思決定場面における両者の関係性については未だ不明な点が多い。本研究ではweb調査と認知神経科学的アプローチを利用することで、欺瞞行動の制御と促進を担う意志力発現に関わる認知神経基盤の解明を目指す。

  • 渡邊 裕之Hiroyuki WATANABE

    京都大学大学院 薬学研究科Graduate School of Pharmaceutical Sciences, Kyoto University

    研究課題
    オレキシン系の解明のための核医学分子イメージングプローブの開発

    研究課題
    オレキシン系の解明のための核医学分子イメージングプローブの開発

    研究内容
    オレキシン系は摂食や睡眠障害などへの関与のみならず,セロトニンやドパミン,ノルエピネフリンといった意志力に関わる多くの神経伝達物質へ影響を与えている.オレキシン受容体(OXR)は,オレキシン1受容体(OX1R)およびオレキシン2受容体(OX2R)の2種のサブタイプが存在するが,脳内におけるオレキシン系の働きを明らかにするにはこれらを個別に生体内でイメージングすることが必要であると考えられる.しかしながら,これまでにオレキシン受容体を可視化する手法は確立されていないことから,本研究では,優れたイメージング手法のひとつである陽電子断層撮像法(PET)用OX1RおよびOX2Rイメージングプローブの開発を行う.さらに,開発した新規プローブおよびノルエピネフリントランスポーターを標的とするPETプローブなどを用いたモデル動物におけるイメージング実験を通して,オレキシン系と意志力に関連する神経伝達物質との関わりを明らかにすることを目的とする.

  • 中村 克樹Katsuki NAKAMURA

    京都大学 霊長類研究所Primate Research Institute, Kyoto Unviersity

    研究課題
    霊長類のやる気におけるドーパミン受容体の役割の解明

    研究課題
    霊長類のやる気におけるドーパミン受容体の役割の解明

    研究内容
     多くの若者が気力ややる気をなくし、引きこもりなどの社会問題を引き起こしている。こうした問題を解決するためには、やる気の喪失がどの神経ネットワークの機能不全に立脚しているのかを解明し、その機能回復を図ることが重要である。ヒトのやる気には大脳基底核や前頭前野といった脳構造の重要性が指摘されている。ヒトと似た脳構造を有するサルを用いた分子レベルでのやる気の神経基盤研究が望まれる。
     これまでにウイルスベクターを用いて尾状核のドーパミンD2受容体系のみをノックダウンすることで、学習能力ではなくやる気の障害を引き起こすことが分かった。やる気を直接評価できる学習課題をマーモセット用に開発し、大脳基底核におけるドーパミンD1, D2, D3受容体系がやる気のどの側面に影響するのかを検討する。

  • 犬束 歩Ayumu INUTSUKA

    自治医科大学 医学部 生理学講座 神経脳生理学部門Department of Physiology, Jichi Medical University

    研究課題
    ファイバーフォトメトリーを用いた意志力発現機構の解析

    研究課題
    ファイバーフォトメトリーを用いた意志力発現機構の解析

    研究内容
    近年、社会における競争的傾向が高まっている。その際、競争に敗北した人達が意志力をいかに保つかということは、個人の健康にとっても社会全体の活力維持にとっても重要な課題である。マウスやラットといった実験動物においても、社会的敗北はうつ病に類似した意志力低下現象をもたらすが、その神経機構は良く分かっていない。意志力が重要であるにも関わらず研究が進んでいない理由の一つは、その客観的計測の難しさにあると考えられる。申請者は、ファイバーフォトメトリーを用いた特定神経の活動記録を行い、自由行動下における意志力の発生過程を解析することによって、その解決を目指す。社会的敗北ストレスによって誘導される社会的忌避行動に関与する前頭前皮質や扁桃体といった脳領域には、オキシトシン神経が密に投射している。本研究では、投射経路選択的な遺伝子発現制御を利用し、オキシトシン神経系の社会的忌避行動におけるはたらきを明らかにする。

  • 田中 謙二Kenji TANAKA

    慶應義塾大学 医学部 精神神経科学教室Department of Neuropsychiatry, Keio University School of Medicine

    研究課題
    負に立ち向かうウィルパワーをつかさどる神経基盤の解明

    研究課題
    負に立ち向かうウィルパワーをつかさどる神経基盤の解明

    研究内容
    応募者らはこれまでに、報酬を得るという目的に向かって駆動されるウィルパワーの神経基盤を解明する研究に従事してきた。その責任脳部位として腹側線条体を、責任細胞としてドパミン受容体2型陽性投射神経(D2-MSN)を挙げるに至っている。しかし、ウィルパワーは、負の事象を回避する/すでに起きてしまった負の事象から脱出するという目的を果たすときにも駆動される。本応募課題は、これまであまり知られてこなかった、「嫌なことから逃げるときに駆動されるウィルパワー」の神経基盤を明らかにすることを目的に掲げる。
    本応募課題では、腹外側線条体および腹内側線条体のD2-MSNが、負の事象の回避/脱出にどのような役割を果たすのかを、オペラント行動実験と細胞腫特異的脳深部観察法の一つであるファイバーフォトメトリーを用いて明らかにする。また、個体を慢性ストレスに暴露したときに、負に立ち向かうウィルパワーがどのように変化し、責任神経の活動がどのように変化するかを調べる。責任神経活動と負に立ち向かうウィルパワーとストレス状態の3者の相関関係、因果関係に迫る。

A02 公募班A02 Publicly Invited Research

  • 細川 貴之Takayuki HOSOKAWA

    東北大学大学院 生命科学研究科 システム神経科学分野
    Division of Systems Neuroscience, Tohoku University Graduate School of Life Sciences

    研究課題
    あきらめない意志力に関係する前頭連合野神経活動

    研究課題
    あきらめない意志力に関係する前頭連合野神経活動

    研究内容
    本研究では、困難な状況においても最後まであきらめることなく努力するという“粘り強い行動”がどのような神経ネットワークによって実現されているのかを調べるため、2頭のサルに力比べ勝負をさせる。自分が不利な状況でもあきらめることなく最後まで力をかけ続けるか、それともあきらめて途中で力を抜いてしまうかを調べることで、粘り強さを定量的に調べる。また、反復経頭蓋磁気刺激法(repetitive Transcranial Magnetic Stimulation: rTMS)により、局所的に脳の機能を阻害することで、ある脳領域が粘り強い行動に関与しているかどうかを調べる。さらに、前頭連合野に金属電極またはシート状の電極を埋め込み、課題遂行中の神経活動を記録する。これら一連の研究によって、あきらめない意志力に関係する神経機構を解明することを目指す。

  • 入鹿山 容子Yoko IRUKAYAMA-TOMOBE

    筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構International Institute for Integrative Sleep Medicine, University of Tsukuba

    研究課題
    オレキシン受容体作動薬による意志力創成の分子機序の解明と新規創薬へのアプローチ

    研究課題
    オレキシン受容体作動薬による意志力創成の分子機序の解明と新規創薬へのアプローチ

    研究内容
    厚生労働省の資料によると、我が国の急性疾患患者の在院日数は、諸外国に比べて群を抜いて長く、医療費適正化計画の一つとして、その短縮が挙げられている。離床を早めるには、早期に運動療法を開始したほうが予後がよいとされるが(Schweikert et. Al., Lancet, 2009)、病床にある患者の多くは特有の精神状態に陥っているため、活動への意欲・意志力を高めることが極めて困難であることが知られている。そこで、意志力に影響を及ぼす内的・外的環境因子を解明し、それを高める介入が必要である。神経ペプチドであるオレキシンは食欲を始めとする脳内の報酬系を活性化し、覚醒を高め、行動や意志力の維持に関わっていることが明らかになった(Sakurai et al. Nat.Rev.Neurosci, 2012)。当研究機構では、オレキシン受容体作動薬の探索の結果、低分子量化合物のオレキシン受容体作動薬 (YNT-185) を世界に先駆けて開発し、これまでの予備的研究で、全身性炎症モデルマウスにYNT-185を予防的に投与すると、倦怠・不動状態からの早期回復が観察されている。そこで、感染症などの炎症や術後の侵襲などの原因による倦怠・不動状態の患者の意志力の早期回復を図ることを目的として、本研究では、全身性炎症モデルマウスを用いて、新規オレキシン作動薬を評価すること、ならびに倦怠・不動状態からの回復時のオレキシン神経の役割を薬理遺伝学的(DREADD)、および光遺伝学的手法を用いて解明していく。

  • 佐々木 努Tsutomu SASAKI

    群馬大学 生体調節研究所 代謝シグナル解析分野Lab for Metabolic Signaling, Institute for Molecular and Cellular Regulation, Gunma University

    研究課題
    社会環境と体内環境の情報を統合する脳のSIRT1の意志力における役割の解明

    研究課題
    社会環境と体内環境の情報を統合する脳のSIRT1の意志力における役割の解明

    研究内容
    意志力を発現するには、「報酬価値の認知能力」と「欲求行動実行への動機づけ(やる気)」が必要である。しかし、この両者に影響を与える社会環境と内臓環境からの情報が、どのように脳内で統合され意志力の発現が制御されるか未解明である。
     申請者はこれまで、1) 脳のSIRT1は内臓環境情報(各種のホルモン)への感受性を高めること、2) SIRT1は社会的ストレス刺激に応じてストレス耐性を高めるオキシトシンを正に調節すること、を明らかにしてきた。
     そこで本研究では「脳のSIRT1による意志力調節モデル」を提唱し、「社会環境と内臓環境の両方からの情報を脳が担う心的機能につなぐ、ミッシングリンクとしての脳のSIRT1」というコンセプトの下、脳のSIRT1の意志力制御における役割の解明に取り組む。遺伝子組換え動物を用いた各種の行動実験を行い、このモデルの実験的な証明を試みる。

  • 高雄 啓三Keizo TAKAO

    富山大学 研究推進機構 研究推進総合支援センター 生命科学先端研究支援ユニットLife Science Research Center, University of Toyama

    研究課題
    呼吸法の動物モデル確立とその意志動力学への応用

    研究課題
    呼吸法の動物モデル確立とその意志動力学への応用

    研究内容
    意志力を強化させうる東洋の伝統的な瞑想・訓練法の中心には深い呼吸、すなわち低速度の呼吸法がある。本研究では、まずこの伝統的訓練法の核をなす呼吸法をマウスが実行できるシステムを開発する。このモデルを用いて呼吸法が意志力に与える影響を解析し、意志力の調節モデルを確立する。自律的に調節される呼吸を意識的に変化させることは動物では困難と考えられるが、本研究ではマウスの生得的な性質とリアルタイムフィードバックシステムによってこれを実現する。この呼吸法マウスモデルはこれまでにない全く新しい動物モデルであり開発に成功すればこれまで神秘とされていた東洋の伝統的精神訓練法の神経メカニズムを明らかにする端緒となる。

  • 古屋敷 智之Tomoyuki FURUYASHIKI

    神戸大学大学院 医学研究科 薬理学分野Division of Pharmacology, Graduate School of Medicine, Kobe University

    研究課題
    ストレス抵抗性を司る内側前頭前皮質の神経突起制御因子の役割と生活習慣との関連性

    研究課題
    ストレス抵抗性を司る内側前頭前皮質の神経突起制御因子の役割と生活習慣との関連性

    研究内容
    社会や環境によるストレス、食事や睡眠といった生活習慣など多様な環境因子が認知や情動に影響する。これらの環境因子には、こころの健康を増進するものや、こころの健康を脅かし鬱病など精神疾患のリスクを高めるものがある。しかし、どのような環境因子がこころの健康を増進するかを客観的に予測する指標は確立されていない。研究代表者らは、マウスでの社会挫折ストレスを用い、短期的なストレスがドパミン受容体を介して内側前頭前皮質(mPFC)の興奮性神経細胞の樹状突起やスパインを造成し、ストレス抵抗性を増強することを見出してきた。本公募研究では、マウスでのストレス抵抗性制御におけるmPFCの神経突起制御因子の関与と働き、その遺伝子発現制御を調べる。また、食餌や睡眠がmPFC神経細胞の形態やストレス抵抗性に与える影響を調べ、ヒト健常者の生活習慣とストレス対処能力の関係も検証する。すなわち、基礎脳科学によりストレス抵抗性を担う脳内基盤に迫りつつ、その成果を社会のこころの健康増進に繋げることを目指す。

  • 酒寄 信幸Nobuyuki SAKAYORI

    福島県立医科大学 医学部附属生体情報伝達研究所 生体機能研究部門Department of Molecular Genetics, Institute of Biomedical Sciences, Fukushima Medical University

    研究課題
    現代の脂質食がもたらす意志力制御の先天的脆弱性と肥満

    研究課題
    現代の脂質食がもたらす意志力制御の先天的脆弱性と肥満

    研究内容
     現代社会における肥満人口の増加は著しく、生活の質の低下や医療費の増加など多くの社会問題を引き起こしています。摂食行動を制御する中枢の一つとして腹側被蓋野のドパミン作動性ニューロンがあり、ドパミンは摂食への意志を制御し、その制御系の破綻は肥満の原因になります。しかし、どのような生活環境が摂食に対する意志に影響するかは未解明な点を多く残しており、肥満を引き起こす環境因子の同定は社会的急務となっています。
     近年、脂質の摂取量は世界的に大きく増加しており、摂取する脂質の種類も劇的に変化しています。本研究課題では肥満を引き起こす環境因子として脂質摂取に着目し、摂食行動のモチベーションに関する多角的な解析を行います。また、意志を制御する神経基盤として脳内報酬系における神経回路機能シフトに着目し、摂食行動戦略の適応変化に対する脂質の役割を評価します。本研究は、脂質栄養に着目した新たな肥満予防法の開発につながると期待されます。

  • 西 真弓Mayumi NISHI

    奈良県立医科大学Nara Medical University

    研究課題
    視床下部新規神経領域PeFAHによる意欲制御メカニズムの神経基盤の解明

    研究課題
    視床下部新規神経領域PeFAHによる意欲制御メカニズムの神経基盤の解明

    研究内容
    申請者らは最近、マウス脳の視床下部に現在のアトラスに表記のない新規領域を見いだし、Perifornical area of anterior hypothalamus (PeFAH)と命名した。PeFAHは脳弓と室傍核の狭間、視床下部前核の背側に位置する三角形の領域で、ウロコルチン3およびエンケファリン産生ニューロンが存在し、 情動と関連の深い外側中隔と双方向性の神経連絡を有する。 また、化学遺伝学的手法によりPeFAHを刺激すると、Foraging(探し回る)行動や新奇物体に対する探索行動が促進し、意欲の制御に関与する可能性を示すなど、極めてユニークな性質を有する領域であることを捉えてきた。そこで本研究では、「視床下部新規領域PeFAHは意欲を亢進する」という仮説を立て、この領域を含む神経回路を光・化学遺伝学的手法によって制御し、意欲亢進の成立における可塑的・特異的な機序の解明を目指す。

  • 杉山(矢崎) 陽子Yoko YAZAKI-SUGIYAMA

    沖縄科学技術大学院大学 臨界期の神経メカニズム研究ユニットNeuronal Mechanism of Critical Period Unit, Okinawa Institute of Science and Technology (OIST) Graduate University

    研究課題
    キンカチョウの歌学習における意思による記憶形成制御の神経メカニズム

    研究課題
    キンカチョウの歌学習における意思による記憶形成制御の神経メカニズム

    研究内容
    ヒトの言語発達と同様、ソングバードの一種であるキンカチョウは生後に成鳥の歌を聴いて覚え、模倣することで歌を学習する。この時、幼鳥は様々な音が耳から聴こえるにも関わらず社会的繋がりの大きい親の歌の記憶形成し、これを学習する。これはランダムに入る聴覚刺激の中から、意思の力で親の歌に注意を傾けることにより特定の聴覚情報のみの記憶を形成しているためと考えらる。そこで本研究ではキンカチョウの歌学習をモデルとして用い、意志の力による特異的な情報の記憶形成を制御する神経メカニズムを明らかにすることを目的とする。
    私達の研究室では親の歌を学習することにより、終脳の高次聴覚野に親の歌に選択的に応答する神経細胞が現れること、つまりこの領域に記憶が形成することを見出している。さらに注意・覚醒に関わる神経伝達物質に注目し、聴覚領域での親の歌に対する聴覚応答へ作用を明らかにすることで、意思の力による学習制御の神経メカニズムを明らかにする。

  • 関口 敦Atsushi SEKIGUCHI

    国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 心身医学研究部 心身症研究室
    Department of Psychosomatic Research, National Institute of Mental Health, National Center of Neurology and Psychiatry

    研究課題
    脳画像疫学データにより解明する「意志の力」の棄損と、内臓知覚訓練による改善の試み

    研究課題
    脳画像疫学データにより解明する「意志の力」の棄損と、内臓知覚訓練による改善の試み

    研究内容
    現代のストレス社会では、「意志の力」の棄損が想定される。「意志の力」の棄損は、ストレスが直接の原因となる精神疾患のみならず、生活習慣病の管理を等閑にさせ、将来的な脳血管障害や認知症のリスクを増大させてしまう。
    本研究では、心理社会的なストレス負荷により「意志の力」を表象する指標が低下しているとの作業仮説を立て、「意志の力」の棄損の評価として『非合理性』『損害忌避』の指標を採用し、PTSD患者および東北メガバンクのコホート調査を受けている震災被災者と健常対照群を対象に評価し仮説を検証する。ストレス負荷により増加が懸念されている様々な病態の中間表現型として「意志の力」の棄損が有力な概念であることを証明する。更に「意志の力」が「内臓知覚」の影響を受けるとの仮説に基づき、内臓知覚の認知トレーニング介入を行うことで「意志の力」の改善を試みる。

A03 公募班A03 Publicly Invited Research

  • 野内 類Rui NOUCHI

    東北大学 学際科学フロンティア研究所Frontier Research Institute for Interdisciplinary Science (FRIS), Tohoku University

    研究課題
    本番に強くなる:状況的意志力を向上させる栄養・認知・運動型調整法の提案と実証

    研究課題
    本番に強くなる:状況的意志力を向上させる栄養・認知・運動型調整法の提案と実証

    研究内容
    「ある試験や試合で最高の成績を出す」という目標を実現できるかどうかは、個人のIQ や体力や継続的に努力できる性格という【特性的な意志力】と本番のやる気や集中力という【状況的意志力】がうまくかみ合うかどうかによって変わる。例え、高い【特性的意思力】があったとしても、本番の【状況的意志力】が低い場合(やる気がでない、集中できない)には、最高の成績を出すことは難しい。このように、どうすれば、目標の達成に大きく寄与する【状況的意志力】を調整・コントロールできるかどうかは、一般社会においても大きな関心が寄せられている。
    本申請研究は、短期間で【状況的意志力】をコントロールできる簡便な調整方法(栄養・認知・運動)を提案し、1)ストレスが低減し集中力や判断力などの認知力が向上し(研究①)、2)さらには効果的な【状況的意志力】の調整方法を用いることで日常的な目標(運転技能や運動検査や各種テストでの高成績など)を達成しやすくなるのかを検証する(研究②)。

  • 中島 健一郎Ken’ichiro NAKASHIMA

    広島大学大学院 教育学研究科 心理学講座Department of Psychology, Graduate School of Education, Hiroshima University

    研究課題
    あきらめない心を育む:意志力創成のための介入プログラムの提案と検証

    研究課題
    あきらめない心を育む:意志力創成のための介入プログラムの提案と検証

    研究内容
    苦しい状況の中から活路を見出すには「あきらめない」という強い意志が必要である。実際,「あきらめ」が経済的な苦境におかれている,言い換えれば社会経済的地位が低い人々の身体的・心理的不調を引き起こすことが示されており,これを打破するための策が求められている。
    この点に関して,研究代表者は,「Shift-Persist approach」に着目し,その有効性について一定の成果を得ている。具体的には,社会経済的地位の低い学生において,自身の環境を成長するチャンスと捉え直し(Shifting),その上で自身の将来を明るいものだと考える,すなわち希望を持ち続ける(Persisting)傾向が強いほど,自己効力感が高いことを示している。
    本研究では,この知見をベースにした実験と調査を行った上で介入研究を実施する。これを通して「あきらめない心」を育む介入プログラムの提案と検証を行うことが目的である。

  • 兵頭 和樹Kazuki HYODO

    公益財団法人 明治安田厚生事業団 体力医学研究所Physical Fitness Research Institute, Meiji Yasuda Life Foundation of Health and Welfare

    研究課題
    気分に着目した高齢者の実行機能を高める軽運動プログラムの開発

    研究課題
    気分に着目した高齢者の実行機能を高める軽運動プログラムの開発

    研究内容
    加齢に伴う前頭前野の構造・機能的な衰えは、意欲や実行機能 (目的に向かって計画的に行動や感情を制御する高次認知機能)、すなわち意志力の低下を引き起こす。中・高強度の有酸素運動は前頭前野機能を高めることが報告されているが、多くの高齢者は身体的・心理的な要因からその実践・継続は困難である。
    近年、我々は身体的負担の少ない低強度の運動でも実行機能が高まる可能性や、それには運動により高まるポジティブ気分が関連することを見出している。そこで本研究は、気分を高める運動は実行機能向上効果を増強させるとする仮説の基、低体力の高齢者でも意欲的に継続実践可能な低強度リズム体操を開発し、その運動が実行機能に与える効果を光脳機能イメージング法を用いて検証する。そして、日常生活や健康づくりの現場に適用可能な意志力を高める低強度運動プログラムの提案を目指す。